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JKA補助事業
​成果紹介

​事業概要

水素供給網の基地としての液体水素タンクは、輸入元の沿岸部から運ばれた液体水素を需要地で消費する前の一時貯蔵として、コンパクトな体積で貯蔵できるメリットがある。しかし、燃料として必要なのは高純度水素ガスであるため、液体としてのの冷熱はガス化の過程で無駄に捨てている。これを有効に利用することが水素供給網の付加価値向上に資する事になる。排出を押さえた安定度の高い電力システム構築に有効な超電導電力貯蔵装置は、で超電導転移するため、液体水素の冷熱を有効に利用できる電力機器である。天候に左右される自然エネルギー発電電力の、特に高周波成分を安定化する技術として注目されるが、機械的な歪みに弱く、大容量化が困難な欠点があり、これを克服する事が水素社会を基盤とする次世代の低炭素電力システム構築に必須である。本事業で克服すべき課題は、

  1. kA級のMgB2大容量導体の設計・製作

  2. kJ級の小型コイル製作・試験

  3. MJ級電力貯蔵コイルの製作・動作実証

である。項目1に関しては、これまでの研究で、曲げ歪み耐性を考慮した設計の0.6kA定格の平角ラザフォード型導体の開発・実証に成功しており、その知見を生かしてkA級の導体を設計・製作・短尺試験を行う。

項目2について、製作した導体の一部を用いて小型のコイルを構成し、これまで得られた知見に基づくコイル化するための技術が、大容量導体に対しても有効である事を実証する。項目3については、大型のパンケーキコイルを製作して伝熱版を挿入して積層する事で、比較的簡単に蓄積エネルギー量を制御できる。液体水素の冷熱を熱伝導でコイルに伝えて冷却し、任意の周波数で交流励磁して動作の健全性を実証する。

事業概要(ASPCSプロジェクトの進展).jpg

2021年度の成果1
kA級大容量導体開発

電力変動の補償を実サイズのグリッドに適用するには、実証試験としてMJクラスの貯蔵容量が必要と考えられる。これまで液体ヘリウムで冷却する低温超電導体NbTiで作られた超電導電力貯蔵コイル(Superconducting Magnetic Energy Storage: SMES)では、瞬時に電圧が低下する、いわゆる瞬停を補償するため、5 MJクラスのSMESコイル実証が行われていた。

(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsj/56/5/56_262/_pdf/-char/ja)。本プロジェクトでも、液体水素冷却が可能なMgB2線材を用いたSMESコイルを実現する目的のため、0.6 kA定格の導体から 1 kAを超える定格電流の導体開発を行った。

​​ 素線は、韓国SamDong社製を選択し、熱処理前の曲げ歪み6%の範囲内で、24本の素線を用いてラザフォード導体(平角)の設計を行ったところ、撚りピッチ110 mmで製作が可能である事がわかり、古河電工(株)のご協力により、導体化に成功した。

kAラザフォード導体設計・製作結果.jpg

2021年度の成果2
kA級大容量導体の試験結果

​​液体水素の沸点である20 Kにおいて、定格電流kAの設計・製作を行った。その液体ヘリウム試験を核融合科学研究所にて行った。4.2 Kでの試験結果は大凡設計通りとなり、その結果から20 Kでの臨界電流値を推定すると、SMESが経験する2 Tの磁場下においても約 1.5 kAの電流値が見込まれ、設計・製作の妥当性が証明された。交流用のMgB2ラザフォード導体としては、世界初の成果であり、国際会議Magnet Technology 27 にて発表され、その後、IEEEの論文として出版された。

導体試験概要とIcの評価結果jpg.jpg

2021年度の成果310 kJ級MgB2 SMESコイルの液体水素冷却通電試験

 10 kJ級 MgB2コイルの液体水素冷却・通電試験を行った。水素は極めて可燃が高いため、サーモサイフォン循環方式で液体水素を循環させ、その配管からの伝熱でコイルを冷却する、「間接冷却方式」を採用している。これによって、通電電流や、制御信号といった電気系統と水素を完全にセパレートし、防爆性能を確保している。

 定格電流600A、最大50A/secの掃引速度でコイルの励磁試験を行ったところ、設計性能通りの通電特性が得られた。この成果は、今後国内外の会議や論文投稿によって社会に発信する予定である。

​ MgB2は液体水素冷却が可能で水素社会との親和性が良く、再生可能エネルギー由来の不安定な電力を安定化して高品質化する事によって、低炭素社会に不可欠なクリーンな電力システムの構築に大きく貢献する事tが期待されます。

LH2コイル試験概要とその結果の一例ver1_edited.jpg

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